調律

今日は今のピアノを買って初めての調律だ。ちょうどピアノがうちに来て半年になる。思っていた通り、ピアノの音は半音狂っており、時々いやな感じに波打つキーも直してもらった。調律に来たおじさんは、職人タイプの真剣な感じの人で、途中、「鳥の音が気になるからどうにかしてくれ」などの注文も入り、小鳥たちを全員寝室に移動させることになった。また、「ちょっといいかい、そっちでA弾いてみて(電子ピアノを指しながら)」といわれ、言われたようにA(ラ)を弾くと、「うん、狂ってないな。たまに電子ピアノも狂ってて、それを当てに狂ってるという人もいるから」ともぶつぶつ言ったりもしていた。

1時間ほどたったころ、緊張状態も解け、「よし、これでもう鳴いてもいいぞ−」と調律師から解雇命令が下る。真剣そのものだった彼の顔に初めてうっすら笑みが浮かんだ。仕上がったピアノは全く別のもののようにしっくりしており、キーを押すと音がいい感じでまろやかになじむ。こんなにかわるものか、と驚きを隠せず、「1年に1回くらいのペースで調律はしたほうがいいんでしょうか?」と聞くと、「1回?普通は1年に2回くらいかな。気になる人は4回する人もいる。」と言われる。「じゃあ、また5ヵ月後ぐらいに連絡します」とあっさり忠告を聞く私に、「まあ、春秋って考えてたらいいんじゃないか、たくさん弾くのか?よく弾くとやっぱり狂うペースがはやくなる。教えてるのか?」と聞かれ、「いや、教えてません。生徒の方です」と答えておいた。


今日は何を弾いていても楽しい。ちょっと金属的な音だったところがすっかりなくなって、丸みのあるやさしい音に代わった。小さいときから弾いていた昔家にあったヤマハのアップライトの感じに良く似ているのも嬉しい理由の一つかもしれない。