調律

cockateil2006-06-11


今日は調律暦30年の年配の調律師が州をまたいでうちまで足を運んでくれた。かなりうるさい顧客にきっちりと答えてくれくれる調律士をショップが回してくれたようだ。問題点を明らかにして仕事にかかる。前問題だった小さなねじの緩みも話をしたら、そこにものりのようなものをつめて緩まないように処理をしてくれた。徹底的に細かいところまで自分の気になる点を説明すると、その箇所を目の前で説明しながら直していってくれる。私は調律士のやっていること全てが知りたいものなので、さらに質問攻めにする。「ぼくは素人相手の話し方はしないよ。君のような人が顧客だとピアノショップは仕事にならないけど、幸い大抵はピアノを買ったらそれっきり連絡もしてこないのが現状だ」、と口ずさみながらも一つ一つの質問に対し丁寧に講義を繰り広げてくれる。父親ほど年齢のはなれる彼は、「今の仕事をやめて調律士になりなさい」、と私にボストンの学校にある一年コースの情報を教えてくれた。計3時間、過去最長の調律となる。かなり完全に近い仕上がりに大満足だ。最後にショパンを一曲弾いた後、この年配の調律士は「このピアノは良すぎる。ぼくが毎日調律してあげれればいいのだけど、話せて楽しかった。」と腰を少しかがめながら帰っていった。本気で取り組んでいる人は必ずどの質問にも真面目な回答が返ってくる。本気で聞いてくる人間にたまたま出会うと、当然嬉しくなってもっと説明をしたくなるのだろう。嬉しそうに、「君はちょっといかれている」と言ったのが印象深い。


年配調律師のしてくれた話の中で印象的だった少年がいた。その少年は私の住む町の最も貧しい地域に住む。私のピアノを買ったショップのオーナーは、ピアノを買うこともできない彼をサポートし、ショップのサイトでその子の映像を提供している。彼は現在スカラシップでよしと同じ音楽学校に通っているそうだ。7歳からピアノを初め3年、天才としか思えない10歳の彼の演奏を是非聞いてほしい。リンクはこちら